
京都大学原子炉実験所 第一回 学術講演会
開催日:1967年2月24日(金) 10:30~ (February 24, 1967)
会 場:京都大学原子炉実験所 会議室
(京都大学原子炉実験所第一回学術講演会講演予稿より)
(KUR NEWS#10、11より)
原子炉実験所に於てなされた研究成果の総合発表会としての「学術請演会」が所内で種々検討された結果、本年度からスタートすることになりました。その第1回として、さしあたって各種実験設備の建設調整運転性能、問題点等を学術的立場から総合報告する事とし、更にこれらと関迎のある一、二の原著論文を追加することとしました。既に各講演の中には出来上った装置の性能公表のみにとどまらず新しいアイデアに基づく基礎研究のスタートが切られたものも多いようです。
開会 所長 木村 毅(20分)
座長:林竹男
(1)京都大学原子炉の設計の特長と運転経験 / 柴田俊一、岡本朴(60分) p.1
KURの計画、設計、建設の段階で考えられた種々の特長と、約2年半の運転でそれらがどう働いたかを述べる。運転の結果わかった設計の弱点についてもあわせて説明する。
(2)京都大学原子炉実験所LINACの性能試験 / 木村逸郎(80分)p.4
原子炉による実験を補うため、中性子発生用として電子線型加速器が設けられた。昭和41年夏まで各種の性能試験が行なわれたが、その結果について述べる。
(3)京都大学原子炉における中性子回折の装置と実験 / 渋谷巖 p.6
熱出力が1MW程度の軽水減速型の原子炉では熱中性子数が充分でなく、それに対して速中性子数がかなり多いために、 これ迄本格的な中性子回折実験が行なわれた例はない。これに対して京大原子炉では種々の工夫をした結果、かなりの程度迄の中性子回折実験が可能となった。これ迄に行なわれた共同利用および担当者等による約80の研究例を分析して、装置の性能、問題点等について議論する。次に中性子回折と直接関連のあるクライオスクット、X線回折装置、中性子モノクロメーター、試料、調整用各種実験装置ならぴに比熱、示差熱分析装置、さらには回折デーク処理に不可欠な電子計算機用プログラミング等の現況について述べる。最後にKURにおいて与えられた条件に最大限にマッチしており、しかも全く新しい中性子回折の効用の例として、強誘電性NaNO2の分極反転機構解明のための実験および理論を紹介する。
休憩(12:30-13:30)
座長:桂山幸典
(4)京都大学原子炉実険所ホットラボラトリーにおける安全取扱い設備とその性能 / 岩田志郎(40分)p.7
原子炉実験所ホットラポラトリーはKURで照射した比較的強い放射能を持った放射性物質を取扱う研究施設であって、 京都大学研究用原子炉建設本部の設計ならびに施工監督の下に昭和37年度後半より原子炉室と一体の原子炉棟として、その建屋建設が始まり、38年8月には内装を除いてほぼ建屋建設が終った。その後39年8月までの間に、ホットケーブ、ジュニアケープ等の強放射性試料取扱い設備の建設を行ない、引きつづき各種実験骰備ならびに安全取扱い設備の購入配置し、現在ようやく当初に予定された設備が一通り備えられるに至っている。その間、40年1月より全国の研究者の共同利用を開始し、すでに2年を経過して共同利用件数も延約300件に達し、また所員の研究活動も活発になって来ている。このように、利用研究を続けながら建設を進める有様であったため、種々の支障も来たしたが、一応当初の計画がほぼ完成した状態になったので、これら施設および設備の建設経過ならびに放射線遮蔽能その他の諸性能の試験結果を報告する。
(5)マルチカウンクー、ゴニオメーターによる角度相関の測定 / 林竹男、岡野事行、川顧洋一、上原進一、湯浅一経*(甲南大理)p.8
マルチカウンクー、ゴニオメークーの原理、構造および性能について概述し、これを60Ni、129Xe および 51Vガンマ線の角度相関測定に用いた結果を述べる。
座長:柴田俊一
(6)京都大学原子炉実験所 放射性廃棄物処理設備について / 筒井天尊(60分)p.10
京都大学原子炉実験の原子炉施設、ホットラボ、トレーサラボ等で生ずる放射性廃水および放射性固体廃棄物の処理のために、廃棄物処理場が建設されたが、 この建設にあたって検討された処理計画上の諸問題と、これにもとづいて建設された処理設備の要点および諸特性試験の結果について述べる。
(7)京都大学原子炉実験所の放射線管理について / 桂山幸典(60分)p.13
KURの放射線管理施設は必要最少限度のものであり、この性能と1964年以来連続蓮転の結果およびその間の問題点について述べる。また、KURは全国大学の共同利用の施設として実験に供されているが、この様な共同利用施設の放射線管理の方式としてここでは研究者の自主的な安全取扱いを基礎として来た。しかし、この面でも種々の問題が発生しており、これ等の概要について述べる。
閉会 柴田俊一(17:00)