1.概要 
10g 未満の試料を内径20mm 長さ95mm 以下のポリエチレン製のカプセルに入れ、炭酸ガスの圧力を利用してホットラボラトリーからKUR 炉心にカプセルを移送し、炉心内で中性子照射を行うことができる装置である。主に放射化分析やRI 製造などに利用されている。照射終了後は再びホットラボラトリーの鉛フード内にカプセルが返送される。設備は独立したPn-1、Pn-2、Pn-3 の3 系統で構成され、それぞれ図2 に示すように炉心内の異なる場所にカプセルを移送される。条件に応じて照射設備の使い分けが可能である。

図1.圧気輸送管照射設備配置図
図2.KUR炉心図

2.特性
物理的特性を表1 に示す。熱中性子束は炉中心に近い順Pn-2→Pn-3→Pn-1 となっており長時間照射を行う場合はPn-2 で、
短時間照射はPn-1,3 で行うのが一般的である。

表1
図3.Pn中性子エネルギースペクトル計算値(5MW)
図4.カプセルの大きさ

3.条件
・試料は個体のみで1 カプセル当たり10g 未満とする。
・最大照射時間
  1MW 運転時: 4 時間
  5MW 運転時: 1 時間
  ただし、取扱放射能が各施設での最大使用数量を超えないように時間設定すること。
・カドミウム照射
 厚さ1.0mm 以下、1 重巻き、試料を含めた重量が10 g 以下
 最大照射時間 5MW:1 分、1MW:5 分
・生成放射能の合計が3.7E+10 Bq を超える場合はPn-2 で行う
・試料以外の充填物はカーゼや脱脂綿のような通気性があるものを使用し、ポリエチ袋などは使用しない
・照射により放射性ガスが発生するような試料は照射できない。
・核燃料物質を照射する場合はPn-2 で行う。

4.操作者
カプセルの照射、取り出し操作は圧気輸送管有資格者が行う。
有資格者は所員、共同利用者ともに所定の教育を受けることで認定される。

5.取扱方法
 ① 試料の準備
 ・試料は2 重のポリエチレン袋、容器や石英ガラスなどに封入し飛散しない措置をとる。 
 ② カプセルの準備
 ・カプセルはホットラボ準備室に保管しているので必要分のカプセルを準備し、専用ゲージを通して形状に異常がないかを確認する。
  ゲージをスムーズに通らない場合はそのカプセルを使用せず、別のカプセルに取り換え、担当者に連絡する。
 ・卓上ボール盤で穴を3 か所開ける
 ・試料をカプセルに詰めてカプセルの蓋を閉める。必要に応じてガーゼや脱脂綿などの緩衝材を入れる。
  特に試料を石英ガラス封入している場合は十分に緩衝材をいれる。
  ただし、ポリエチレンなどの通気性の悪い緩衝材は使用しないこと。
 ・所定のポリエチレン製リベットを3 か所の穴にしっかりと差し込み蓋が開かないことを確認する。

図5.カプセルの断面
図6.制御用ソフト

③ カプセルの移送
・各Pn ステーションにて行う。カプセルをsettingbox に入れ、制御用PC のタッチパネルで照射番号、氏名、所属、照射時間を入力する。
・インターホンでKUR 制御室に連絡し氏名、照射番号、照射時間を連絡し照射の許可をもらう。インターホンは移送完了まで通話状態にしておく。
・照射開始ボタンを押してカプセルを移送する。移送後、異常が無いことをKUR 制御室に連絡する。

④ カプセルの返送
・カプセル取り出しの1 分前にインターホンでKUR 制御室に取り出し1 分前であることを連絡する。
・カプセルが返送されたことを確認し、タッチパネルの「キャプセルを確認して下さい」というダイアログのOK ボタンを押す。

※ カプセルの移送、返送の詳細はステーションにある制御ソフトマニュアルを参照してください。

⑤ カプセルの開封
第1 実験室のフード内でカプセルを開封する。開封後の放射性廃棄物は所定の分類に従って分別し、廃棄物記録票を記載しA 表は各自で保管しB 表は廃棄物置場のポストに入れておく。放射性廃棄物の詳細はホットラボラトリーを参照してください。

6.異常時の処置

「フロー停止」

照射中に冷却系のブロアーが停止するとキャプセルが溶着する可能性があるため10秒でブザーが鳴動し、60秒で制御棒の一斉挿入が始まりKURが自動停止する。制御棒の一斉挿入が始まるまで(ブザーが鳴ってから50秒以内)に以下の手順で対応する。

ⅰ)  KUR制御室に連絡をとり、KUR制御室でも警報が鳴っていることを確認する。
ⅱ)  <EMERGENCY >ボタンでキャプセルを強制的に取り出す。
ⅲ)  EMERGENCY RETURNでもキャプセルが取り出せない場合は、<冷却系強制運転>ボタンを押してキャプセルの溶着を防ぎ、
  炭酸ガス圧力を0.1MPa程度まで上げてから再度EMERGENCY RETURN操作を行う。それでもキャプセルが取り出せない場合は
  KUR制御室に連絡し指示を仰ぐ。
ⅳ)  上記の対応でもカプセルが出ず、ブロアーの故障等により冷却系強制運転が行えない場合は一斉挿入によりKURが停止する。
  その後はKUR運転員の指示に従う。

その他のエラー

各Pnステーションにあるマニュアルを参照して対応を行い、圧気輸送管設備担当者に連絡してください。

7.設置場所
原子炉棟ホットラボラトリー(放射線管理区域) Pn-1:ホットケーブ室、Pn-2:ジュニアケー
ブ室、Pn-3:第1 実験室

8.提出書類
出張・実験計画書、管理区域立入願、KUR・KUCA 照射使用記録、誘導放射能計算書、管理区域立入願
  照射した試料を放射性同位元素として登録する場合 : 放射性同位元素取扱届(非密封)
             核燃料物質を照射する場合 : 核燃料物質記録

9.装置担当者
吉永尚生 yoshinaga.hisao.4n*kyoto-u.ac.jp
飯沼勇人 iinuma.yuto.5z*kyoto-u.ac.jp
高宮幸一 takamiya.koichi.2u*kyoto-u.ac.jp   (*→@)

10.その他
・中性子束の低い照射場への振り替えは計画段階でも変更可能で、マシンタイムに空きがある場合は照射当日でも可能。
    Pn-2 → Pn-3 → Pn-1 → TC-Pn
・照射時間の短縮は照射当日でも可能、延長は不可
・照射をキャンセルする場合はKUR 制御室へ連絡し、KUR 照射使用記録にキャンセルしたことを記載する。
・5MW で申請された照射は計画段階において1MW-5 倍時間への振り替えが可能。
・エクステンションニューマ(EX-Pn)を使用する場合はKUR・KUCA 照射使用記録に予め記載し、線量率がカプセルから10cm で1mSv/h 以下で使用すること。

※計画段階とは実験の3 週間前に行うマシンタイムの調整段階をいう。