1.概要
複合研電子線型加速器(KURNS-LINAC、通称ライナック)は2 本の進行波型加速管を持ち、小型ライナックとしては世界的にも珍しい、波長の長いL バンド周波数(1.3 GHz)の大電力マイクロ波で電子を加速する装置である。発生できる電子ビームのエネルギーは6~46 MeV、パルス幅は2 ns~5 µs、パルスの繰返し1~360Hz となっており、シングルバンチの発生も可能であるなど、広い可変範囲を持つことも特徴の一つとなっている。最高ビームパワーは10 kWであり、平均電流330 µA は小型ライナックとしては国内最高である。定常中性子源である研究炉と相補うパルス状中性子源として1965 年に設置されたが、現在では多種多様な量子ビーム源として、電子線、X 線、中性子線による材料照射、中性子飛行時間分析法を用いた核データの取得、(γ,n)(γ,p)反応によるRI の製造やその応用、テラヘルツ帯コヒーレント放射光による物理実験などに広く利用されている。特に、液体窒素温度から300℃までの電子線照射を可能にする「ライナック電子線材料照射装置」、微少試料や反応断面積の極めて小さい核種などの核データ取得を可能にする「鉛減速スペクトロメータ」、ミリ波テラヘルツ帯の高輝度放射光を光源とする「高輝度ミリ波テラヘルツ放射光分光装置」といった国内外で貴重な装置を備えている。前室(利用者控室)および制御室以外の各部屋は管理区域となっており、密封RI 線源や実験用核燃料を使用できるほか、ターゲット室のみ非密封RI(簡易密封)の取扱い及びマウスを用いた動物実験が可能である。本装置の利用希望者は研究所の共同利用研究として申し込みマシンタイムの割り当てを受けるほか、マシンタイムに余裕があれば随時の所内利用も受け付けている。
2. 特性
(1) 電子ビーム仕様


(2) 付帯設備
● ライナック電子線材料照射装置(※1)
● 中性子飛行時間分析装置
● 鉛減速スペクトロメータ
● 高輝度ミリ波テラヘルツ放射光分光装置(※1)
● 白金ターゲット制動X 線照射装置
(※1:詳細は各装置の項目を参照)
3.条件
(1) 本装置の運転スケジュールは、配分されたマシンタイムの範囲内で利用者に任されており、昼夜連続運転も可能である。
但し、夜間の管理区域内作業は複数人で行うこと。
(2) RI の使用に当たっては、部屋ごとに核種、数量が制限されているので、「RI 使用の要点」などで確認する。
実験室、測定室、12m 測定室、22m 測定室では密封RI が使用でき、ターゲット室のみ密封RI のほか非密封RI が簡易密封の形態で使用可である。
(3) 搬入室を除くRI 管理区域内の各室が核燃料物質使用施設管理区域となっている。
(4) ターゲット室ではマウスを使用した動物実験が可能である。
(5) 照射試料の大きさ、形状、冷却方法などは、計画段階からライナック担当者と打ち合わせを行う。
4.操作者
加速器の起動やビーム条件の変更は、有資格者であるライナック担当者が行うが、定常状態での運転状況の監視、および加速器停止は原則として実験者が行う。
5.取扱方法
(1) 本装置の利用者は、年度当初の利用時に安全教育(教育ビデオの視聴およびライナックでの現場教育)の受講が必要となる。
ライナック独自の冊子「京大炉ライナック安全の手引き」を別途作成しているので、所員か共同利用者かによらずすべての利用者はこれを熟読し、
安全な利用に努めること。
(2) 新しい実験を希望する場合は、計画段階からライナック担当者と十分な打ち合わせを行う。
(3) 制御卓に運転マニュアルが備え付けられているので、運転監視や停止の際に必要に応じて参照する。
6.異常時の処置
加速器に異常があれば運転を停止し、制御室掲示のライナック担当者に連絡する。火災・発煙、大量被ばく・RI 汚染、地震、人身事故の際には、ライナック安全の手引きや制御室掲示の通報手順に従い通報を行う。なお、火災・発煙、地震など身の危険を感じた場合には、躊躇せずにライナック運転キーを左に回し、加速器の全電源をシャットダウンする
7. 設置場所
電子線型加速器施設(中性子発生装置室)
8.提出書類
● 必須:放射線発生装置使用記録、出張・実験実施計画書
● 照射実験の場合:(核燃料物質)照射試料の誘導放射能の計算書を障-様式-012 に添付
※注:核燃料を使用しない場合でもライナックでの照射にはこちらの様式を使用
● RI使用の場合:放射性同位元素取扱届
● 所外の利用者:管理区域立入願
● 立入制限区域(※2)への立入:高線量作業承認願、または障-様式-012 で高線量作業の欄に「有」と記入
※2:運転中の測定室およびマイクロ波発生室、及び非密封RI(照射試料及び照射ターゲット)取扱い時のターゲット室
9.装置担当者、連絡先
高橋俊晴 takahashi.toshiharu.4n*kyoto-u.ac.jp
阿部尚也 abe.naoya.6u*kyoto-u.ac.jp
吉野泰史 yoshino.hirofumi.5v*kyoto-u.ac.jp
堀 順一 hori.junichi.6e*kyoto-u.ac.jp (*→@)
10.平面配置図

