1.概要

 KUR炉頂にあるサブプールから炉心近傍まで移送管内をワイヤー等でカプセルを吊り下げて移送し照射を行う実験装置。他の照射孔よりも大きな試料が照射でき、構造も単純なことから オンライン測定しながらの照射も可能である。
 移送はステンレスワイヤーを用いた専用ホルダーか容器に水糸とアルミ線を取り付ける方法のどちらかで

図1.炉心近傍図
図2.傾斜照射孔概略図

2.特性

傾斜照射孔
下端からの位置(㎝)
熱中性子束(n/cm2/s)Cd比
4.59.648E+1134.0
9.57.064E+1131.6
203.240E+1120.3
301.064E+1120.3
402.468E+1020.9
505.236E+0919.1
608.864E+0813.5
702.092E+0814.2
表1.SLYの熱中性子束
図3.SLY高さ方向の中性子束

3.条件

・試料の大きさ、重量に制限はないが各施設で生成放射能が取扱放射能上限を超えないように照射時間、試料重量を制限する。 ・試料を入れる容器はポリエチレン、ポリプロピレン、または水圧輸送管用アルミカプセルとする。通常は実験所で用意する図に示すような500mlのPP容器を使用する。PP、PE製容器は水中に沈めるために空気抜きの穴を数か所開け、重りとして高純度鉛粒を約240g入れる
・試料の移送は基本的に専用ホルダーを使用する。 専用ホルダーを使用せず、容器のまま照射する場合は容器に水糸とアルミ線(約8m)を取り付ける。但し、5MW運転時においては12分以内、1 MW運転時においては1時間以内の照射については水糸2本でも可とする。
・最大照射時間
水糸を使用する場合:1MW25時間、5MW5時間
専用ホルダーを使用する場合は実験設備管理部員と相談する。

図4.所定のPP容器
図5.専用ホルダーを使用した照射
図6.専用ホルダー
図7.容器のままで照射

4.操作者

KUR運転班長の許可を得て実験者が行う。

5.取扱方法

専用ホルダーを使用する場合

1) 容器(ポリエチレンまたはポリプロピレン製)に試料を入れる。
2) リール部分とホルダー部分をカラビナで繋ぐ。
3) 傾斜照射孔の蓋を開ける。
4) 試料が入った容器を専用カプセルホルダーに入れ、ホルダーの蓋をする。制御室に連絡し、リールを回して専用ホルダーを照射孔の底まで徐々に降ろす。
5) 照射終了後、線量を確認しながらリールでワイヤーを巻き取り、徐々に専用ホルダーを引き抜く。

専用ホルダーを使用しない場合

1) 容器に試料を入れる。必要に応じて高純度鉛粒の重りを入れる。
2) 容器に実験所で用意するアルミニウム線と水糸(水糸2本)を縛り付ける。
3) 傾斜照射孔の蓋を開ける。
4) 制御室に連絡し、水糸とアルミニウム線(水糸2本)を下げて容器を傾斜照射孔の底まで徐々に下ろす。
  照射中、試料を吊り下げているアルミニウム線と水糸(水糸2本)はサブプ-ル横 の柵にしばりつけておくこと。
5) 照射終了後、線量を確認しながらアルミニウム線と水糸(水糸2本)を徐々に引き抜く。

以下共通

6) 照射孔上部付近のサブプールの蓋に放射線測定器を置いて測定する。線量率が2 mSv/hを超える場合は、試料を照射孔に戻して放射能の減衰を待つ。
7) 照射済み試料から1m離れた位置での線量が20μSv/hを超える場合には、原則としてサブプ-ルの底に留置して線量の減衰を待つこととする。照射済み試料から1m離れた位置での線量が20μSv/hを超えるが、照射済み試料を取り出す必要がある場合は、放射線管理部の許可を得て実施すること。
8) 傾斜照射孔の蓋をする。

6.異常時の処置

ホルダーや容器が管内に詰まり移送、返送ができなくなった場合はKUR原子炉主任技術者に連絡する。

7.設置場所

原子炉棟炉室サブプール

8.提出書類

実験・出張計画書、KUR・KUCA照射使用記録、誘導放射能計算書

放射性同位元素取扱届(非密封)、缶理区域立入願、常時(臨時)立入者証交付願

9.装置管理者

高宮幸一 takamiya.koichi.2u*kyoto-u.ac.jp
吉野泰史 yoshino.hirofumi.5v*kyoto-u.ac.jp (*→@)

10.その他

・容器内は水に浸されるため試料は2重袋以上に密封し水中へ飛散しないようにする。

・照射済み試料をサブプールから持ち出す際は、水がこぼれないような処置をし汚染防止に努めること。

・研究炉運転中に試料容器の挿入、取出し操作を行う場合には、制御台操作員と連絡を取りながら慎重に行うこと。

・照射済み試料容器の放射能の減衰以外にサブプール内に照射済み試料容器を放置しないこと。

・専用ホルダーは水中から取り出さずサブプール内に保管する。

・照射済み試料容器などをサブプール内に残す場合には、当直運転員に連絡し、当直運転員は次の運転班または当直者への引継を十分に行うこと。

・照射条件などの詳細については、事前に実験設備管理部員と実験方法等に関して打ち合わせを行うこと。